見たのは『ラジオのリクエスト』(2003年、アブドゥルラティフ・アブドゥルハミド)というシリアの作品。アポロが月に到達したというニュースが流れるから、舞台は1969年ということになる。ラジオの音楽の時間が唯一の娯楽らしい娯楽という山村を舞台にした悲喜劇だ。
村の中の貧富の差に焦点を当てたり、アンチ・イスラエルの台詞を村人が叫ぶ一方で、言葉を話せない精神薄弱の男を登場させて、戦争の愚かさを告発する。1969年ということは、六日戦争後の小競り合いの時期ということになるのだろうか。
言論の自由に制限がある中での独特の話法がソビエト映画のようだと思ったら、監督はモスクワの国立映画大学(VGIK)の出身なのだった。
